エブリイ「地縁マルシェ」が示す地産地消の未来

地域密着スーパーが描く新たな産直ビジネスモデル

食品スーパーエブリイ(福山市南蔵王町)が展開する産直事業「地縁マルシェ」の取り組みが、地域小売業界で大きな注目を集めています。同社は8月から農産物の参考価格や過去の販売実績を閲覧できる専用アプリを導入し、さらに昨年からは瀬戸内海の鮮魚受け入れも開始。全47店舗のうち32店舗で展開する「地縁マルシェ」には、約4700人・法人の生産者が参加し、店舗によっては売上全体の10%を占める規模まで成長しています。

木村

木村: これは本当に画期的な取り組みですね。私たち総社・倉敷・岡山エリアでも、地元の農家さんや漁業者の方々が同じような課題を抱えています。価格設定の難しさや販路確保の問題は、どこの地域でも共通の悩み。エブリイさんのアプリを使った支援システムは、まさに「かゆいところに手が届く」サービスだと思います。

テクノロジーが支える農家の販売活動

エブリイが導入した出品者向けアプリは、農産物ごとに店頭での販売価格を「相場」として紹介し、出品者自身の過去の販売実績も店別や曜日別で表示する機能を搭載しています。この取り組みは、グループ会社のIT業リファクト(東京)と共同開発されたもので、農家が最も頭を悩ませる価格設定や需要予測を支援することを目的としています。

産直市場は急速に拡大しており、2023年の産直農産品市場規模は3兆4244億円(前年比103.2%)と成長を続けています。農産品市場全体に占める産直農産品の構成比は36.3%に達し、2030年には41.9%まで拡大すると予測されています。

特に注目すべきは、スーパーマーケットの74.6%が地元産直品コーナーを設置済みで、今後の設置意向は86.2%が拡大希望という状況です。これは産直販売が業界トレンドとして完全に定着していることを示しています。

瀬戸内海の恵みを活かした鮮魚部門への展開

エブリイの「地縁マルシェ」で特に興味深いのは、昨年4月から地域の漁業者からの鮮魚受け入れを開始したことです。現在は児島店(倉敷市児島赤崎)と緑町店(福山市緑町)の2店舗のみでの展開ですが、瀬戸内海で水揚げされたクロダイやマナガツオ、イイダコなどが持ち込まれ、好評を得ています。

この取り組みは、瀬戸内海の地理的優位性を最大限に活かした戦略と言えます。委託販売手数料は一般的に13-25%で、スーパーにとっては仕入れリスクなしで粗利を確保できる魅力的なビジネスモデルです。一方、生産者側も中間マージンを削減し、従来の1.6倍の収入を得られるケースが報告されています。

木村

木村: 瀬戸内海の鮮魚を扱うというのは、本当に地域性を活かした素晴らしいアイデアですね。岡山県でも備前市日生や牛窓など、新鮮な魚介類が水揚げされる港がたくさんあります。こういった地域の特産品を活かしたビジネスモデルは、他の地域でも参考になる事例だと思います。

「道の駅」のような魅力を持つ産直コーナーの集客効果

エブリイの産直コーナー「地縁マルシェ」は、2010年12月に福山市内の1店に設けたのを皮切りに設置店舗を増やしてきました。現在では来店客に定着しており、同社担当者は「値札に生産者を明記している安心感や鮮度が受けている」と分析しています。

産直コーナーの成功要因として、以下のポイントが挙げられます:

  • 生産者の顔が見える安心感 – 値札に生産者名を明記
  • 新鮮さの訴求 – 地元で採れたばかりの農産物
  • 価格の透明性 – 生産者が直接価格設定
  • 地域貢献への共感 – 地産地消への意識
  • 「発見」の楽しさ – 珍しい品種や季節の野菜との出会い

エブリイは「産直コーナーは店に『道の駅』のような魅力を与え、集客効果が大きい」と位置付けており、今後も各店でのPR強化と集荷場の拡充を進める方針を示しています。

競合他社の動向を見ても、イオンやヨークベニマルなどの大手チェーンが地産地消コーナーを強化しているほか、農業総合研究所の「農家の直売所」は全国1600店舗に展開し、年間流通総額170億円を達成するなど、産直プラットフォーム事業者も急成長を遂げています。

地域経済活性化への貢献と今後の展望

エブリイの「地縁マルシェ」が示すのは、中小スーパーがテクノロジーを活用して競争力を高める成功モデルです。47店舗中32店舗での展開と約4700人の生産者という規模は、地域密着型スーパーとしては圧倒的な存在感を示しています。

この取り組みは単なるビジネス成功事例を超えて、以下のような多面的な価値を地域社会に提供しています:

地域経済への多面的効果

  • 農業振興 – 新たな販路確保による農家収入向上
  • 地産地消の推進 – 地域内経済循環の活性化
  • 食料安全保障 – 地域の食料自給率向上
  • 雇用創出 – 集荷・配送・販売に関わる雇用機会
  • 文化継承 – 伝統野菜や郷土料理の保護

今後の課題としては、生産者の高齢化や後継者不足といった構造的問題への対応が求められています。また、デジタル化の進展により、EC連携や予約販売システム、顧客データ分析などの機能拡張が競争力維持のカギとなるでしょう。

総社・倉敷・岡山地域の読者にとっては、身近な農家や漁業者の支援、新鮮な地場産品へのアクセス向上という直接的なメリットがあります。特に岡山県は白桃やマスカット、備前黒大豆など全国に誇る農産物の宝庫であり、このようなシステムの導入により、さらなる地域ブランド力向上が期待できます。

木村

木村: エブリイさんの事例を見ていると、私たち岡山・倉敷・総社エリアでも大きな可能性を感じます。特に総社市は農業が盛んで、おいしい野菜がたくさん作られています。こうしたテクノロジーを活用した産直システムが普及すれば、農家さんの収入向上と消費者の満足度向上、そして地域経済の活性化という三方良しの関係が築けるはずです。地域の特色を活かしながら、持続可能な農業と小売業の発展を目指していくことが、これからの地域社会には必要不可欠だと思います。

関連リンク

株式会社エブリイ公式サイト
地縁マルシェについて
山陽新聞:エブリイ、産直事業強化 農家向けアプリ導入、鮮魚も出品

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