岡山の老舗企業トンボが新たな挑戦

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岡山市北区に本社を構える学生服大手のトンボ(株式会社トンボ)が、近年注目を集めているリカバリーウェア市場に参入しました。同社が新たに発売した「MEGURU KIRAKU(めぐる きらく)」は、着ているだけで血行促進効果が期待できる新商品として話題を呼んでいます。
岡山県は古くから繊維産業が盛んで、特に学生服の生産では全国シェアの約8割を占める一大産地として知られています。その中心的存在であるトンボが、長年培ってきた技術とノウハウを活かして新たな分野に挑戦する姿は、地元企業の底力を感じさせます。

「岡山の繊維産業の歴史は江戸時代にまで遡ります。当時の池田藩による干拓事業で綿花栽培が始まり、その後の技術革新と共に発展してきました。トンボさんの新しい挑戦は、まさにその伝統と革新の精神を受け継いでいるんですね。岡山の企業として誇らしく思います。」
リカバリーウェアとは
リカバリーウェアは、繊維に練り込まれた特殊な素材が体温を吸収し、遠赤外線として放射することで血行を促進し、疲労回復をサポートする機能性ウェアです。セラミックやトルマリンなどの鉱物を繊維に配合することで、肌から放出される遠赤外線を再び肌へ輻射する仕組みとなっています。
遠赤外線は波長が長く、身体の内側を温める効果があります。温泉や岩盤浴のように身体をじんわりと優しく温め、血行促進により疲労回復、肩こり・腰痛などの軽減に役立つと言われています。
科学的研究によると、遠赤外線療法により末梢血流が30%以上向上し、冷え性患者の70%以上が症状の改善を実感したという結果も報告されています。また、韓国の医療研究機関の実験では、遠赤外線寝具を使用した被験者の入眠時間が平均20%短縮され、深い眠りの時間が25%増加したという効果も確認されています。
MEGURU KIRAKU の特長
トンボが開発した「MEGURU KIRAKU」は、繊維に混ぜ込んだセラミックが遠赤外線効果で体を温める仕組みを採用しています。主な製品特長は以下の通りです:
- 素材と機能:
- 本体:ポリエステル80%・綿20%
- リブ:ポリエステル62%・綿34%・ポリウレタン4%
- 血行促進、疲労回復、筋肉のハリやコリの緩和、筋肉の疲れを軽減
- サイズと価格:
- サイズ:SS・S・M・L・LL(5サイズ展開)
- カラー:グレーモク・コーラルピンク・ネイビー(3色展開)
- 価格:上下セットで14,300円
トンボは約30年前から病院の患者や介護施設入所者向けの服を生産しており、その知見を活かして高齢者でも着やすい形状を採用しています。具体的には:
- ゆったりとしたつくり
- 腕が上がりにくくても着られるように手を通す穴を大きく設計
- ポリエステルに綿を20%配合し、吸水性に優れ乾きやすく、睡眠時の汗蒸れを軽減

「トンボさんの長年の経験が活かされているんですね。岡山県は高齢化率が全国平均を上回っていますから、こういった高齢者に配慮した製品開発は非常に重要です。地元の企業がこうした社会課題に取り組んでいることを嬉しく思います。」
岡山の繊維産業と学生服の歴史
岡山県の繊維産業の歴史は古く、江戸時代にまで遡ります。当時の池田藩による干拓事業で綿花栽培が始まったことが、その起源とされています。明治時代に入ると、足袋製造から洋装への変化に対応して制服製造へと転換し、流行に左右されない制服が地理的特性に適していたことから、岡山は学生服の一大産地となりました。
トンボは1876年に創業し、1924年に株式会社として設立された老舗企業です。岡山県における学生服産業の発展を牽引してきた企業の一つで、現在も業界のリーディングカンパニーとしての地位を確立しています。
しかし、少子化の影響で学生服市場が縮小する中、トンボは事業の多角化を進めています。2019年には同業の瀧本を子会社化し、学生服業界で首位に躍進しました。また、介護・医療関連ウェア分野での実績拡大や、今回のリカバリーウェア市場への参入、さらにはデザイン性向上やLGBTQに配慮した制服開発など、時代のニーズに合わせた取り組みを行っています。

「岡山の繊維産業の歴史を振り返ると、時代の変化に合わせて常に進化してきたことがわかります。トンボさんの取り組みは、まさにその精神を受け継いでいますね。地域の伝統産業が新しい分野に挑戦する姿は、他の地元企業にとっても良い刺激になると思います。」
リカバリーウェア市場の可能性と課題
リカバリーウェア市場は、健康志向の高まりを受けて拡大が見込まれています。特に以下のような社会的背景が市場拡大を後押ししています:
- 慢性的な疲労を感じる人の増加
- アスリートによる疲労回復効果への注目
- 高齢化社会における健康寿命延伸への関心
- 在宅ワークの普及による体調管理への意識向上
一方で、リカバリーウェアには以下のような課題も指摘されています:
- 効果には個人差があること
- プラセボ効果の可能性
- 一般医療機器として認定されていない製品の存在
- 価格が高額であること(一般的に上下セットで1万円~4万円程度)
これらの課題に対応するため、厚生労働省は2022年10月にリカバリーウェア専用の医療機器カテゴリー「家庭用遠赤外線血行促進用衣」を新設しました。疲労回復、肩こり・腰痛の軽減といった治療効果を謳うには厚生労働省の認可が必要で、現在日本で一般医療機器として登録されているのはわずか20ブランド余りとなっています。
岡山発の新たな健康産業への期待
トンボの「MEGURU KIRAKU」は、岡山の繊維産業の伝統と革新を体現する新たな製品として注目を集めています。同社は「元気な人から介護が必要な人まで使ってもらい、健康寿命を延ばせたら」と、リカバリーウェア事業への期待を表明しています。
岡山県は高齢化率が全国平均を上回っており、健康寿命の延伸は重要な課題となっています。そんな中、地元企業が新たな健康産業に挑戦することは、地域経済の活性化だけでなく、住民の健康増進にも寄与する可能性があります。
また、トンボの挑戦は、岡山の繊維産業全体にも良い影響を与えるかもしれません。伝統的な技術と新しい発想を組み合わせることで、他の地元企業も新たな製品開発や市場開拓に取り組むきっかけになるかもしれません。

「岡山の繊維産業は、常に時代のニーズに合わせて進化してきました。今回のトンボさんの挑戦も、その流れを汲むものだと感じます。地域の課題解決と産業振興を両立させる取り組みとして、大いに期待しています。これを機に、岡山から新たな健康産業が生まれ、全国に広がっていくことを願っています。私たち地元の事業者も、この動きに注目し、できることがあれば協力していきたいですね。」



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