岡山・広島のタクシー運賃改定、11月27日から実施

約30年ぶりの大規模改定、岡山・広島でタクシー運賃が値上げへ

国土交通省中国運輸局は2024年10月28日、岡山県と広島県(広島市域地区を除く)におけるタクシー運賃改定を公示しました。新運賃は11月27日午前5時に出庫する車両から適用され、岡山県で平均13.27%、広島県で平均12.09%の値上げとなります。

この改定は岡山県では1995年以降で最大の上げ幅、広島県では1993年以降で2番目に大きい改定率となっており、約30年ぶりの大規模な運賃見直しとなります。乗客数の減少や物価・人件費の高騰といった経営環境の悪化を背景に、タクシー事業者が経営の健全化と労働条件の改善を目的として申請したものです。

木村

木村: 岡山県内でタクシーを利用される方も多いかと思います。約13%の値上げは決して小さくありませんが、運転者の労働環境改善や事業の持続可能性を考えると必要な改定と言えるでしょう。特に地方都市では公共交通機関としてのタクシーの役割は重要です。

岡山地区の新運賃体系―実質値上げの仕組み

岡山地区の普通車初乗り運賃は上限700円で据え置かれるものの、初乗り距離が現在の1.25キロから1.1キロへと150メートル短縮されます。一見すると料金は変わっていないように見えますが、より短い距離で初乗り運賃が適用されるため、実質的な値上げとなります。

加算運賃についても100円のままですが、加算距離が283メートルごとから250メートルごとに変更されます。これにより、同じ距離を移動した場合でも、より多くの加算料金が発生することになります。

岡山地区の運賃改定ポイント

  • 初乗り運賃: 700円(据え置き)
  • 初乗り距離: 1.25km → 1.1km(150m短縮)
  • 加算運賃: 100円(据え置き)
  • 加算距離: 283mごと → 250mごと
  • 「ちょい乗り」運賃: 684m/500円 → 600m/500円

近距離利用に対応した「ちょい乗り」運賃も設定されており、従来の684メートル500円から600メートル500円に変更されます。短距離移動の需要に応えつつ、事業者の収益改善にも配慮した設定となっています。

広島地区と申請状況―業界全体での改定の動き

広島地区(広島市などを除く地域)では、普通車初乗り運賃が現在の1.5キロ750円から1.42キロ800円にアップし、初乗り距離も80メートル短縮されます。加算運賃は90円から100円に引き上げられ、加算距離も短縮される予定です。

申請状況を見ると、岡山県では全152社のうち62社(計2,064台)が、広島県では全143社中の43社(計1,205台)が運賃改定を申請しました。岡山地区の申請率は車両数ベースで81.13%と、基準となる5割を大きく上回っており、業界全体で改定が求められていることが分かります。

中国運輸局は運賃改定の審査において、各社の経営状況を調査し、標準能率事業者の収支が赤字であることを確認した上で、収支が一致するよう運賃額を決定しました。この審査プロセスは2024年3月から6月にかけての申請受付期間中に行われ、6月18日に改定審査開始が発表されました。

木村

木村: 申請率が8割を超えているという事実は、タクシー業界が直面している経営環境の厳しさを物語っています。岡山や倉敷、総社といった地域でも、タクシーは高齢者の通院や買い物など、日常生活を支える重要なインフラです。事業の持続可能性確保は地域社会全体にとって重要な課題と言えます。

公示から実施まで―事業者の準備と今後のスケジュール

公示後、タクシー事業者は公示された運賃の範囲内(上限から下限まで)で自社の運賃を決定し、中国運輸局に申請または届け出を行います。各事業者は運賃メーターの設定変更車体表示シールの張り替えなどの準備を進め、11月27日午前5時の出庫車両から新運賃での営業を開始します。

個人タクシーにもこの運賃改定は適用されます。事業者は新運賃での営業開始前に、車両への初乗り運賃表示ステッカーの貼付や運賃表の更新を完了させる必要があります。

タクシー運賃「公示」とは?

タクシー運賃の「公示」とは、運輸局が審査を経て決定した運賃の上限と下限を正式に発表することを意味します。公示されると、タクシー事業者はその範囲内で運賃を設定し、申請または届け出を行うことができます。

公示された運賃の範囲内であれば、原価計算書の添付を省略し、速やかに認可を受けることが可能です。公示から約1カ月後に新運賃が適用開始となるのが一般的で、今回も10月28日の公示から11月27日の適用開始まで約1カ月の準備期間が設けられています。

広島市などを含む広島市域地区(旧広島県A地区)については、現在も審査中であり、年内には公示される見通しです。この地区では30事業者(全69事業者中)から1,625台(全2,580台中)の申請があり、車両数ベースで62.98%の申請率となっています。

値上げの背景と労働環境改善への期待

今回の運賃改定は、乗客数の減少物価・人件費の高騰といった経営環境の悪化を背景に、タクシー事業者が経営の健全化と労働条件の改善を目的として申請したものです。岡山・広島両県とも、前回の値上げは2023年6月であり、約2年5カ月ぶりの改定となります。

中国運輸局は国土交通省の地方支分部局で、中国地方5県(鳥取、島根、岡山、広島、山口)の運輸・交通に関する業務を所管しています。その主な使命には以下の4つがあります:

  1. 輸送の安全・安心の確保
  2. 地域公共交通の確保・活性化
  3. 観光による地域振興
  4. 地域経済を支える産業振興

中国運輸局は、運賃改定の趣旨が確実にタクシー運転者の労働条件改善に反映されるよう、各事業者団体に対して改善状況を自主的に公表することを求めています。また、運賃改定に伴う障害者割引など事業に要する経費を運転者に負担させる慣行がある場合は、見直しを図るよう求めています。

岡山県内では、倉敷市や総社市といった地域でもタクシーは重要な移動手段となっています。特に公共交通機関が限られる地域では、高齢者や車を持たない方々の生活を支える不可欠なサービスです。運賃改定により運転者の労働環境が改善されれば、サービスの質の向上や人材確保にもつながり、結果的に利用者にとってもプラスとなるでしょう。

まとめ―持続可能なタクシー事業に向けて

2024年11月27日から岡山県と広島県で実施されるタクシー運賃改定は、約30年ぶりの大規模な見直しとなります。岡山県で平均13.27%、広島県で平均12.09%の値上げは、利用者にとっては負担増となりますが、タクシー事業の持続可能性確保と運転者の労働環境改善という重要な目的があります。

岡山地区では初乗り距離の短縮や加算距離の変更により実質的な値上げとなり、広島地区では初乗り運賃そのものが引き上げられます。申請率が8割を超える岡山県の状況は、業界全体が直面する厳しい経営環境を示しています。

公示から約1カ月の準備期間を経て、各事業者は運賃メーターの変更や車体表示の更新を行い、新運賃での営業を開始します。中国運輸局は運賃改定が確実に運転者の労働条件改善につながるよう、事業者に対して改善状況の公表を求めており、透明性の高い運用が期待されます。

木村

木村: タクシー運賃の改定は短期的には負担増に感じられるかもしれませんが、長期的視点で見れば地域の移動手段を守るための必要な措置です。岡山、倉敷、総社といった地域でタクシーサービスが持続的に提供されることは、特に車を運転できない高齢者や障がい者の方々にとって生活の質に直結します。運賃改定が運転者の待遇改善につながり、質の高いサービスが維持されることを期待したいですね。利用者として、適正な対価を支払うことで地域の公共交通を支えるという意識も大切だと思います。

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