総社から全国へ──100年の味噌づくりが生んだ新しいご当地菓子
総社市で今、新たなご当地菓子が話題を呼んでいる。「おやつと雑貨のお店 シャルマン」と、創業100年を超える老舗みそ店「秋山糀店」がコラボレーションした「備中神楽味噌飴(みそあめ)」だ。昔ながらの手作り味噌を現代的なお菓子に昇華させたこの商品は、昨年9月の発売以来、地元だけでなく岡山市や倉敷市の百貨店・スーパーでも販売され、幅広い世代から注目を集めている。
この商品が生まれた背景には、シャルマン代表の下村治美さん(52歳)の強い想いがあった。秋山糀店が製造する「備中神楽味噌」の熱烈なファンである下村さんは、「昔ながらの手作り味噌のおいしさを、より多くの人に、より長く味わってもらいたい」という願いから、この企画を立ち上げたという。味噌という伝統的な調味料を、持ち運びしやすく誰でも気軽に楽しめる飴という形に変える──その発想は、地域資源の新たな活用法として大いに注目に値する。
木村:
伝統ある地元の味噌を新しい形で届けるという試み、とても素晴らしいですね。総社には長い歴史を持つ事業者が多くいますが、そうした「老舗の強み」を現代に合わせて進化させる姿勢こそが、地域の魅力を再発見するきっかけになると感じます。
大正10年創業──秋山糀店の味噌づくりへのこだわり
この商品の主役となる味噌を製造しているのが、秋山糀店だ。大正10年(1921年)に創業され、100年以上にわたって総社の地で味噌づくりを続けてきた名店である。
秋山糀店の味噌づくりの最大の特徴は、「昔ながらの手作り製法」にある。もろぶたで糀(こうじ)を一枚一枚手作業でつくり、大豆は大釜で丁寧に煮て、時間をかけてアクを取り除いていく。機械化が進んだ現代においても、この伝統的な手法を守り続けているのだ。
さらに特筆すべきは、通常の味噌に比べて糀を50%多く配合している点だ。これにより、深いコクと自然な甘みが生まれ、上質でまろやかな味わいが実現されている。原材料にも徹底的にこだわり、米と大豆はすべて国産100%、保存料は一切無添加。麹菌が生きたまま樽から袋詰めされるため、常温保存用の保存料や加熱殺菌も行っていない。さらに、高梁川の伏流水から汲み上げた天然水を使用するなど、素材選びから製法まで、随所にこだわりが見られる。
こうした丁寧なものづくりが、秋山糀店の味噌が長年愛され続けている理由だ。地域に根ざし、変わらぬ味を守り続けることで、地元の食文化を支えてきた存在といえるだろう。
福岡の老舗あめ店との協力で実現した上品な味わい
「備中神楽味噌飴」の製品化にあたっては、福岡県の老舗あめ店に製造を依頼した。試食を何度も繰り返し、「備中神楽味噌の優しい風味を活かしつつ、程よい甘さに仕上げる」という目標を追求した結果、納得のいく商品が完成したという。
一般的な味噌飴は塩辛さが前面に出るものが多く、人によっては食べにくさを感じることもある。しかし、この「備中神楽味噌飴」は、秋山糀店の味噌に含まれる上質な糀の甘さが活きており、上品で優しい味わいが特徴だ。甘すぎず、塩辛すぎず、絶妙なバランスに仕上がっている点が、幅広い層に受け入れられている理由だろう。
パッケージデザインにも工夫が凝らされている。秋山糀店がデザインした切り絵風の文字と、神楽舞のイラストがそのまま採用されており、手に取った瞬間に「備中」「総社」の地域性を感じられるビジュアルとなっている。お土産としても映える見た目で、総社らしさを表現している点が評価できる。
販売形態は以下の2種類が展開されている。
| 内容量 | 価格 |
|---|---|
| 55グラム入り | 390円 |
| 73グラム入り | 518円 |
手軽に試せる価格帯で、ちょっとしたお土産にも、自分へのご褒美にも最適だ。
木村:
何度も試作を重ねて完成させた商品というのは、やはり違いますね。地元の素材をどう活かすか、どうすれば多くの人に届けられるか──そうした試行錯誤の積み重ねが、商品の質を高めているのだと感じます。
寒い季節の相棒──のど飴としても活躍する味噌飴
シャルマンの下村代表は、「寒い時季はのどあめにもぴったり」とコメントしている。実際、味噌飴は昔からのど飴として親しまれてきた歴史があり、風邪の予防や喉のケアにも重宝されてきた。
味噌には発酵食品ならではの栄養素が豊富に含まれており、体を温める効果や、免疫力をサポートする働きがあるとされている。そうした味噌の良さを飴という形で摂取できるのは、健康志向の高まる現代において大きなメリットといえるだろう。
また、シャルマン自体が「体にやさしく、安心・安全素材のお菓子を作る」ことをモットーにしている。こうした理念が秋山糀店のこだわりと重なり、「備中神楽味噌飴」という商品が誕生した背景には、両社の共通する価値観がある。
口の中で懐かしい味わいが広がるこの飴は、単なるお菓子ではなく、「地域の食文化を味わう体験」として捉えることもできる。総社の味を、日常の中で気軽に楽しめる──それがこの商品の大きな魅力だ。
購入方法と今後の展開──総社から岡山全域へ
「備中神楽味噌飴」は、総社市内では以下の店舗で購入可能だ。
- サンロード吉備路
- 宮脇書店
- リブ総社店
- 農マル園芸
また、岡山市や倉敷市の百貨店やスーパーでも取り扱いがあり、総社市外からもアクセスしやすい販売体制が整っている。総社市の情報サイトでも紹介されており、地域を挙げての応援体制が感じられる。
問い合わせは、シャルマン(0866-37-2223)または秋山糀店(0866-92-0948)まで対応しているため、気になる方はぜひ直接問い合わせてみるとよいだろう。
今後、この商品が岡山県外にも広がっていけば、総社の魅力を発信する新たなツールとして大きな役割を果たす可能性がある。地域の特産品が全国に届くことで、総社という名前がより多くの人に知られるきっかけになるはずだ。
木村:
地元で購入できる場所がこれだけ充実しているのは、地域の事業者同士が連携している証拠ですね。こうした流通網の整備も、商品を育てる上で非常に重要な要素です。
まとめ──伝統と革新が生んだ総社発の新定番
「備中神楽味噌飴」は、100年以上続く老舗の味噌づくりの技術と、地元を愛する雑貨店のアイデアが融合して生まれた、総社発の新しいご当地菓子だ。昔ながらの手作り味噌を現代の形で楽しめるこの商品は、単なるお菓子の枠を超え、地域の歴史や文化を味わう体験を提供している。
秋山糀店の徹底したこだわりと、シャルマンの「安心・安全」を追求する姿勢が重なり合い、健康にも配慮された優しい味わいが実現した。寒い季節ののど飴としても活躍し、日常の中で総社の味を気軽に楽しめる点が大きな魅力だ。
総社市内外で購入できる環境が整い、今後さらに認知度が高まれば、岡山県を代表するお土産として定着する可能性も十分にある。地域資源を活かした商品開発のモデルケースとしても注目に値するだろう。
木村:
総社には、まだまだ埋もれている魅力がたくさんあります。今回のように、地元の事業者同士が手を組み、伝統を守りながら新しい価値を生み出す姿勢こそが、地域を元気にする原動力になります。「備中神楽味噌飴」のような取り組みが、これからも増えていくことを期待しています。ぜひ一度、この総社発の逸品を手に取ってみてください。



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