セブンイレブン全国12種類の豚汁展開、岡山は白みそ

セブンイレブンが仕掛ける地域別豚汁戦略

全国のセブン-イレブンで、これまで「豚汁」といえば店舗ごとに似たような商品が並んでいるイメージでした。ところが2025年12月26日、流通ニュースの報道により、セブンが全国12種類の豚汁を地域ごとに展開していることが明らかになりました。

北は北海道から南は九州まで、各エリアの食文化に根差した味付けや具材を採用し、地域限定商品の強化を図っています。岡山・四国エリアでは「白みそコク旨豚汁」が378円で販売されており、あごだしと糀を使った独特の風味が特徴です。

コンビニ業界が効率重視の全国統一商品から、地域密着型の商品展開へとシフトしている象徴的な動きといえるでしょう。

木村

木村: コンビニが地域ごとの食文化に目を向け始めたのは、消費者にとって大きな変化です。岡山の白みそ文化が全国チェーンで評価されることで、地元の味噌メーカーにもスポットライトが当たります。こうした取り組みが地域経済の活性化につながることを期待しています。

全国12種類の豚汁ラインナップを徹底比較

セブン-イレブンが展開する12種類の豚汁は、各地域の食文化を反映した商品構成になっています。価格帯は328円から410円まで幅があり、使用する味噌や豚肉の産地にこだわりが見られます。

エリア 商品名 価格 特徴
北海道 具だくさんぶた汁道産豚肉使用 328円 道産豚肉・昆布だし
東北 青森県産地養豚のコクうま豚汁 340円 地養豚使用
新潟 ごろっと具材の豚汁 新潟県産豚肉入り 358円 新潟産豚肉
北陸 加賀みそ使用10品目具材の豚汁 348円 加賀みそ
長野・山梨 信州味噌使用糀味噌のコク旨豚汁 358円 信州味噌・糀
首都圏 コクと旨味の豚汁 328円 基本配方
静岡 合わせ味噌仕立ての具だくさん豚汁 358円 合わせ味噌
愛知 合わせ味噌仕立ての具だくさん豚汁 410円 合わせ味噌・高価格帯
関西 豚汁西京味噌使用 358円 西京白味噌
中国 広島県産お米ポーク使用具だくさん豚汁 358円 広島産豚肉
岡山・四国 白みそコク旨豚汁 378円 白みそ・あごだし・糀
九州 お肉のうま味ぶた汁九州味噌 328円 九州味噌

特筆すべきは、岡山・四国エリアの白みそ豚汁です。あごだし(トビウオのだし)と糀を組み合わせることで、まろやかでありながら深いコクを実現しています。西京味噌を使う関西エリアとは異なり、岡山独自の白みそ文化が反映されているのが興味深いポイントです。

岡山の白みそ文化とセブンの地域戦略

岡山が「白みそ」の産地として知られているのをご存知でしょうか。実は岡山には、大正9年創業の馬場商店吉田本店といった老舗味噌メーカーが存在し、100年以上にわたって白みそ作りの伝統を守り続けています。

馬場商店の「備州白みそ」は、クリーミーで味わい深く、無添加や安全性にこだわった製法で作られています。また、吉田本店の「吟醸白みそ」は、岡山県産の米と大豆を使用し、自然な甘みと旨みが特徴です。

岡山の白みそ文化は、関西圏の食文化との近さが背景にあります。瀬戸内海を挟んで関西と接する岡山は、昔から京都や大阪の食文化の影響を受けてきました。しかし、岡山独自の気候と風土が、関西の西京味噌とは異なる独特の白みそを生み出したのです。

セブン-イレブンが岡山で白みそ豚汁を展開する背景には、2023年の岡山進出30周年記念商品の成功があります。1993年に笠岡市で初出店を果たしたセブンは、2023年にピーチポーク丼など7品の記念商品を発売し、大きな反響を呼びました。

木村

木村: 馬場商店や吉田本店のような老舗メーカーの技術が、全国チェーンの商品開発に活かされるのは素晴らしいことです。地元企業とナショナルチェーンの協業が、岡山ブランドの認知度向上につながります。

豚汁の地域差から見える日本の食文化多様性

興味深いのは、豚汁一つとっても日本全国で大きな違いがあることです。ファミリーマートが実施した700人を対象とした調査によれば、呼び方から具材、味付けまで、地域によって明確な特色が存在します。

呼び方の地域差

「とんじる」と「ぶたじる」、あなたはどちらで呼びますか?この呼び方にも地域性があり、九州では46%が「ぶたじる」と呼び、北海道では41.7%が同様です。一方、関東や関西では「とんじる」派が優勢で、言葉の選択にも地域の文化が反映されています。

具材の地域差

地域 特徴的な具材
東北 豆腐(70%)、ネギ(81%)、ジャガイモ(青森82.4%)
北関東 里芋(主流)、こんにゃく
岡山・中国四国 サツマイモ(26%)、里芋、その他
全国平均 里芋(最多)、人参、大根

岡山・中国四国エリアではサツマイモを入れる家庭が26%と、全国平均より高い数値を示しています。これは温暖な気候でサツマイモ栽培が盛んなことや、自然な甘みを好む地域性を反映していると考えられます。

味付けの地域差

味付けでは、全国平均で合わせみそが65.3%を占めますが、中部地方では赤みそが約30%と高い割合になります。一方、岡山では白みそを使う家庭も多く、まろやかで優しい味わいを好む傾向があります。

この地域ごとの食文化の違いを商品化したセブンの戦略は、「地産地消」から「地産多消」への進化といえます。地域で作ったものを地域で消費するだけでなく、その地域の食文化を全国に発信し、他地域の人々にも楽しんでもらう取り組みです。

地域限定商品が持つ経済的・心理的価値

セブン-イレブンが2024年10月から全国11エリアで同時展開した「地域フェア」は、コンビニ業界における大きな転換点です。効率重視で全国統一商品を展開してきたコンビニが、なぜ今、地域限定商品に力を入れるのでしょうか。

差別化戦略としての地域商品

コンビニ市場が成熟期を迎え、各チェーンの差別化が難しくなっている現在、地域密着型の商品開発は重要な戦略となっています。全国どこでも同じ商品が買える利便性から、その地域でしか買えない特別感へ。消費者の価値観の変化に対応した動きです。

限定商品の購買心理

「限定」という言葉には不思議な魅力があります。心理学では希少性の原理と呼ばれ、手に入りにくいものほど価値を感じる人間の性質を指します。

  • 「今だけ」の限定感: 期間限定や地域限定は購買意欲を刺激する
  • 旅行・帰省時の購買動機: 他県からの訪問者にとってお土産代わりになる
  • SNS時代の「投稿したくなる」商品: 地域限定商品は話題性が高い
  • メリハリ消費: 節約志向の中でも特別な商品には財布の紐が緩む

岡山の地場産業とセブンの協業事例

セブン-イレブンの岡山戦略は白みそ豚汁だけではありません。これまでにも様々な地場産品を商品化してきた実績があります。

岡山地場産品の採用例

  • ピーチポーク: 岡山特産の桃にちなんで命名されたSPFポーク(高品質豚肉)
  • 蒜山ジャージー牛乳: 岡山県北部の蒜山高原で育てられたジャージー牛の牛乳
  • フルーツパプリカ: 笠岡市で栽培される甘みの強いパプリカ
  • 岡山産なす・白ねぎ: 県内で栽培される新鮮野菜

これらの取り組みは、地元生産者にとって販路拡大の機会となり、セブン-イレブンという全国チェーンを通じて岡山ブランドが広がるきっかけになっています。

木村

木村: 地域限定商品は単なるマーケティング手法ではなく、地域経済を支える仕組みです。大手チェーンが地元企業と協業することで、小規模事業者にも大きなビジネスチャンスが生まれます。持続可能な地域経済の発展につながる取り組みとして注目しています。

まとめ:豚汁から見える地域経済活性化の可能性

セブン-イレブンの全国12種類豚汁展開は、単なる商品バリエーションの増加ではありません。それは日本の食文化の多様性を尊重し、地域経済の活性化を目指す戦略の表れです。

岡山・四国限定の「白みそコク旨豚汁」378円は、馬場商店や吉田本店といった老舗味噌メーカーの技術、あごだしという伝統的なだし文化、そして糀を使った発酵食品の知恵が結集した商品です。これを全国チェーンが商品化することで、岡山の食文化が全国に発信され、地元企業にもビジネスチャンスが生まれます。

全国を見渡せば、北海道の昆布だし、青森の地養豚、新潟県産豚肉、加賀みそ、信州味噌、西京味噌、広島のお米ポーク、九州味噌と、各地域の特産品や伝統的な味付けが豚汁という身近な家庭料理に活かされています。

豚汁の呼び方一つとっても「とんじる」「ぶたじる」の違いがあり、具材ではサツマイモ、ジャガイモ、里芋と地域によって好みが分かれます。こうした食文化の多様性こそが日本の豊かさであり、それを商品化して守り伝えていく取り組みには大きな意義があります。

木村

木村: 今回のセブンの取り組みから学べるポイントは3つです。

  1. 地域の強みを再発見する: 当たり前だと思っていた地元の食文化に、実は大きな価値がある
  2. 大手との協業を恐れない: 地場企業が全国チェーンと組むことで、認知度と販路が飛躍的に拡大する
  3. ストーリーを伝える: 商品の背景にある歴史や文化を発信することで、付加価値が生まれる

岡山の白みそ豚汁を見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。そこには100年以上続く老舗の技術と、瀬戸内の食文化が詰まっています。

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