受験生に寄り添う岡山発の応援プロジェクト
2026年1月17日からの大学入学共通テストに向けて、両備グループのバス・鉄軌道ユニットが受験生を応援する特別企画「いっしょにガンバっす」の運行を開始しました。この取り組みは、「進(シン)・宇宙一面白い公共交通を目指すプロジェクト」の一環として実施されており、両備バスカンパニー、岡山電気軌道、井笠バスカンパニー、中国バスの4社で合計15台の車両が運行されています。
「合格」にちなんで各社5台ずつという縁起の良い台数で運行されるこのバスは、ただの移動手段ではありません。車内には合格祈願吊革、応援メッセージが流れる降車ボタン、合格祈願シートなど、受験生を励ます工夫が随所に施されています。また、大塚製薬とのコラボレーションにより、バランス栄養食「カロリーメイト」が車内や沿線の高校生約7,000名に配布されるという手厚いサポート体制も整えられています。

木村: 公共交通が単なる移動手段を超えて、地域の人々を応援する存在になるというのは素晴らしい発想ですね。受験生に「一人じゃない」というメッセージを届けることで、プレッシャーではなく寄り添う形の応援を実現しているところに、岡山らしい温かさを感じます。企業が地域の若者を支える姿勢は、地方創生の理想的なモデルだと思います。
細部まで考え抜かれた「合格」への仕掛け
「いっしょにガンバっす」の特徴は、その徹底したこだわりにあります。運行前には地元の春日神社でご祈祷を行い、安全な運行と受験生の合格を祈願。バス車内では、自然と手が伸びる吊革を「合格守り」デザインに変更し、「吊革をしっかりつかんで、合格をつかんでほしい」という願いを込めています。
座席には「合格」「必勝」の応援ハチマキが巻かれた合格祈願シートが設置され、背中に伝わる応援のパワーを感じながら試験会場に向かえる設計です。降車ボタンを押すと「安全運転であなたの挑戦を応援します」というメッセージが流れ、学校や塾、受験会場へと向かう受験生を元気に送り出します。さらに、回送中の方向幕にも合格祈願の絵馬やだるま、桜などの縁起の良いモチーフがあしらわれ、受験生を送り届けた後も合格を願い続ける姿勢が表現されています。
中国バスの一部車両では、ハート型の「合格祈願吊革」も登場。出会えたらラッキーという遊び心も盛り込まれています。また、一部車両にはスタッドレスタイヤを装着し、「滑りにくいタイヤで受験生を後押し」するという、文字通り「滑らない」縁起担ぎも実施されています。
大塚製薬とのコラボで心とお腹の両方をサポート
昨年も好評だった大塚製薬とのコラボレーション企画が今年も実施されています。大塚製薬の「カロリーメイト」に応援メッセージを添えて、両備グループのバス路線沿線にある全38校の高校生、合計7,082個が配布されました。さらに、企画バス車内でもアンケートに回答した乗客に対して合計1,500名にプレゼントされる予定です。
この取り組みは、栄養面でのサポートと精神面での励ましを同時に提供するもので、受験シーズンを乗り切るための「エネルギー補給」となっています。企業と地域交通事業者がタッグを組んで受験生を支援する形は、地域全体で若者を応援する文化を醸成する効果も期待できます。

木村: 企業間連携によって地域貢献の規模を拡大できている好例ですね。カロリーメイトというブランド力と、両備グループの地域密着力が組み合わさることで、単独では実現できない価値が生まれています。こういった協業モデルは、他の地域や業種でも応用できる可能性を秘めていると思います。
共通テスト当日には臨時バスも運行
「いっしょにガンバっす」は2025年12月17日から2026年2月末まで通常の路線バスとして運行されますが、大学入学共通テストが実施される2026年1月17日・18日には、試験会場までの臨時バスとしても運行される予定です。岡山電気軌道と中国バスでは、共通テストに加えて路線沿線大学の試験日にも臨時バスを運行します。
具体的には、岡電バスが2月25日・26日の岡山大学前期試験に、中国バスが2月25日の福山市立大学前期試験に臨時バスを運行予定です。受験生にとって試験当日の移動は大きなストレス要因ですが、こうした臨時バスの運行により、安心して試験に臨める環境が整えられています。
運行スケジュールの一部は宇宙一面白い公共交通を目指すプロジェクトHPで公開されており、利用直前に最新情報を確認できる体制も整っています。
「宇宙一面白い公共交通」を目指す両備グループの挑戦
この「いっしょにガンバっす」プロジェクトは、両備グループが2023年度から推進している「進(シン)・宇宙一面白い公共交通を目指すプロジェクト」の一環として実施されています。このプロジェクトは、公共交通をもっと楽しく、わかりやすく、使いやすくし、「サービス業」としての進化を目指すものです。
両備グループは岡山県岡山市に本社を置く総合交通事業者で、バス事業、鉄軌道事業のほか、システム開発、エネルギー事業など幅広い分野で事業を展開しています。創業は1910年と古く、100年以上にわたって岡山の地域交通を支え続けてきた実績があります。
今回の受験生応援企画は、地域の公共交通事業者が単なる移動サービスを提供するだけでなく、地域社会の一員として人々の人生の節目に寄り添う姿勢を体現したものといえるでしょう。「受験生だけに”がんばれ”と背負わせるのではなく、家族も友達も先生も地域の皆さんもバス会社も、みんなで”いっしょに頑張ろう”」というコンセプトには、地域全体で若者を育てていこうという温かいメッセージが込められています。
両備グループのバス事業は、両備バスカンパニー(両備ホールディングスの社内カンパニー)、岡山電気軌道、井笠バスカンパニー、中国バスの4社体制で運営されており、岡山県内および広島県東部の広範囲をカバーしています。今回の企画では、これら4社が連携して15台の応援バスを運行することで、より多くの受験生にエールを届けることを可能にしています。
まとめ:地域に根ざした企業だからこそできる応援の形
両備グループの「いっしょにガンバっす」プロジェクトは、公共交通事業者が地域社会において果たすべき役割を再定義する試みといえます。合計15台のバスに施された合格祈願吊革、応援シート、メッセージ付き降車ボタンといった細やかな工夫、大塚製薬とのコラボレーションによる7,000個以上のカロリーメイト配布、そして共通テスト当日の臨時バス運行まで、受験生を多角的にサポートする仕組みが構築されています。
特筆すべきは、「がんばれ」というプレッシャーを与えるのではなく、「いっしょにがんばろう」と寄り添う姿勢を貫いている点です。受験は個人の挑戦ですが、その背後には家族や友人、先生、そして地域社会の応援があることを可視化することで、受験生に安心感と勇気を与える効果が期待できます。
この取り組みは2026年2月末まで継続される予定で、大学入学共通テストだけでなく、私立大学や国公立大学の個別試験の時期もカバーします。受験シーズンを通じて、岡山・広島エリアの多くの受験生がこの応援バスに乗車し、励ましのメッセージを受け取ることになるでしょう。

木村: このプロジェクトから学べるポイントは大きく3つあります。第一に、地域密着企業だからこそ実現できる細やかな配慮。吊革やシート、降車ボタンといった日常的な接点を活用して応援メッセージを届ける発想は、利用者の動線を熟知しているからこそです。第二に、企業連携による価値の拡大。大塚製薬とのコラボレーションにより、栄養面と精神面の両方からサポートする体制を構築できています。第三に、長期的視点での地域貢献。受験生支援は直接的な収益につながりにくいですが、地域の若者を応援することで企業イメージの向上と地域社会との絆が深まります。岡山・倉敷・総社エリアで事業を展開する者として、こうした地域に根ざした取り組みの重要性を改めて認識させられました。公共交通が「面白い」だけでなく「温かい」存在になることで、地域の未来を支える力になるのだと思います。



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