鷲羽山に、「寄り道」を「目的地」に変えるカフェが誕生
岡山県倉敷市、瀬戸内海国立公園を代表する景勝地・鷲羽山。その頂からは、穏やかな瀬戸内の島々が幾重にも重なり、光は海面をゆっくりと滑り、空気は静かに動き続けます。「とにかく眺めがいい場所」として長年親しまれてきた一方で、「景色を撮って、次へ向かう通過点」として消費されがちな側面もありました。
2025年3月、その鷲羽山に新たなカフェが誕生します。KOTKA SETOUCHI(コトカ)。鷲羽山ビジターセンターを拠点に、日本茶・珈琲・軽食・デザートを提供するこのカフェスタンドは、ただの飲食店ではありません。「眺める」だけでなく、この場所の空気・音・光・香り・温度を”高解像度”で感じるための体験装置として設計されています。
岡山・倉敷エリアで暮らし、働く者として、これは単純に「面白いプロジェクトが始まった」と感じます。地域の資源を掘り下げ、価値に変えていく姿勢は、同エリアで事業を展開する身にとってとても刺激的です。
KOTKA SETOUCHIとは何か?―― 店名に込められた哲学
店名「KOTKA」は、フィンランド語で「鷲」を意味します。鷲羽山という地名との自然なつながりを持ちながら、鷲のように高い視点からこの場所を見渡し、体験を研ぎ澄ませるというコンセプトが店名に込められています。
KOTKAが提供するのは、「飲み物」ではなく「感覚の焦点を合わせる体験」だと、運営元のNEKKO株式会社は説明しています。鷲羽山の頂に立てば視界は一気に開ける。でもそこで止まらず、頬をなでる風の音、潮と土が混ざった空気の匂い、手にした器の温度と質感、そして日本茶の旨みがゆっくり舌に広がる余韻まで――すべてを丸ごと「体験」として受け取るための場所。それがKOTKA SETOUCHIです。
観光地でありながら喧騒から一歩離れ、自然の中に身を置ける場所。派手な演出や観光消費を目的とするのではなく、「その場所にいること」そのものを楽しむためのカフェというスタンスは、近年の地方の観光地に求められているあり方と一致しています。
木村:「鷲羽山はずっと”通り過ぎる場所”だと思っていました。でも、KOTKA SETOUCHIのコンセプトを読んで、地域資源のポテンシャルをどう引き出すかという問いに向き合っているプロジェクトだと感じました。岡山・倉敷エリアには、まだ掘り起こされていない”価値の根っこ”がたくさんある。このカフェはそれを実践で示すモデルケースになりうると思っています。」
五感を刺激するメニュー構成 ―― 日本茶・珈琲・深呼吸シリーズ
KOTKA SETOUCHIのメニューは、景色と空気に”寄り添う”設計になっています。以下に主なメニューラインナップをまとめます。
| カテゴリ | 内容・特徴 |
|---|---|
| 日本茶 | 香り・旨味・余韻の違いを楽しめる複数ラインナップ。ゆっくりと景色を眺めながら味わえる一杯を提供。 |
| 珈琲 | 瀬戸内の穏やかな風景に寄り添う、やさしく飲み疲れしない味わい。オリジナルブレンドを予定。 |
| 深呼吸シリーズ(シグネチャー) | 季節のアロマとともにオリジナルブレンドの珈琲または日本茶を楽しむ五感体験型メニュー。飲み物の香りにアロマが重なることで、呼吸が整い気持ちがほどけていく時間を演出。 |
| KUMOシリーズ(シグネチャードリンク) | 雲を乗せたような見た目のドリンクや、グラデーションをイメージしたドリンクなど、ここでしか飲めないオリジナル。 |
| スイーツ | 日本茶にも珈琲にも合う和洋のデザートを展開。素材の味を生かした、景色とともに楽しめる味わい。 |
| 軽食(オープンサンド) | 季節の食材を取り入れたオープンサンド。観光の合間に気軽に立ち寄れる内容。 |
特筆すべきは、「深呼吸シリーズ」に代表される五感体験型アプローチです。アロマを活用し、「飲む」「嗅ぐ」「見る」「感じる」を意図的に組み合わせることで、単なる飲食体験を超えた”リセットの時間”を提供しようとしています。瀬戸内の景色の中で、心と身体を丁寧にほぐすひとときは、日常的なストレスを抱えた現代人にとってもリアルな価値があると言えます。
また、シグネチャードリンク「KUMO(雲)」は、鷲羽山の空を見上げたときのあの感覚を、グラスの中に再現しようとしているかのようです。見た目の体験性が高く、SNSでの拡散も期待できる反面、あくまで「この場所でこそ完成するドリンク」というコンセプトが軸になっているのが好感を持てる点です。




運営元NEKKO株式会社が目指す「地域ブランディング」の起点
KOTKA SETOUCHIを手がけるのは、NEKKO株式会社。同社は「地域に眠るまだ見ぬ価値を掘り起こし、現代の視点で再定義するローカルプロデュース・ブランディング会社」です。土地や地域に根ざした”価値の根っこ”を見つめ直し、人々が関わり続けたくなるかたちへと育てていくことで、地域にワクワク感を広げることをミッションとしています。
KOTKA SETOUCHIは、NEKKOが手がける地域ブランディングの起点となる自社ブランドプロジェクトです。瀬戸内海国立公園・鷲羽山という場所が持つ風景・空気・時間の流れを、「日本茶と珈琲と絶景を楽しむカフェ」という身近なかたちに翻訳し、解像度を高める装置として機能させる。そのロジックは、観光資源の活用という枠を超え、「場所の価値をどう言語化・体験化するか」という問いへの実践的な回答です。
鷲羽山はこれまで、日本初の国立公園として愛されてきたにもかかわらず、「景色を見て次へ向かう」通過点として扱われてきた側面がありました。KOTKAはそこに「滞在する理由」を生み出すことで、鷲羽山を寄り道から目的地へ移行させようとしています。地域内外から人が訪れ、滞在し、自然と人との関わりが生まれる拠点を目指すという方向性は、観光地としての岡山・倉敷の可能性を広げる試みとも言えます。
店舗情報・アクセス
| 店舗名 | KOTKA SETOUCHI(コトカ) |
|---|---|
| プレオープン | 2025年3月14日(土)〜 |
| 本オープン | 2025年3月21日(土)〜 |
| 所在地 | 〒711-0925 岡山県倉敷市下津井田之浦1-2-2 鷲羽山ビジターセンター内 |
| 提供内容 | 日本茶/コーヒー/軽食/デザート |
| 公式Instagram | @kotka_setouchi |
| お問い合わせ | nekko.local222@gmail.com |
まとめ|地域の価値を”体験”に変えるカフェの誕生
KOTKA SETOUCHIが面白いのは、「絶景カフェ」という言葉に収まらない点です。鷲羽山の眺望を”消費させる”のではなく、五感を通じてこの場所の解像度を上げることで、訪れた人の中に鷲羽山を根付かせようとしている。それは単なる飲食ビジネスではなく、地域と人の間に新しい関係性を生み出すプロジェクトです。
「深呼吸シリーズ」のアロマ体験も、「KUMO」ドリンクのビジュアルも、和の要素を取り入れた店内設計も、すべてが「この場所で、この時間に、あなたが感じること」に向かって設計されています。鷲羽山という長年愛されてきた場所に、新しい訪問理由が生まれる。観光地としての岡山・倉敷エリアにとって、これはシンプルに「いいニュース」です。
木村:「鷲羽山は子どもの頃から知っている場所ですが、正直、”見て終わり”になりがちな場所でもありました。KOTKAのアプローチは、景色を”消費”から”体験”に変えるという、地域にとって本質的な問いへの答えだと思います。岡山・倉敷エリアにはまだまだこういう可能性が眠っている。このカフェが、地域資源の再発見という動きを加速させるきっかけになれば、同じエリアで仕事をしている者として本当に嬉しいです。2025年3月の鷲羽山、ぜひ足を運んでみてください。」




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