岡山市の公共交通がついに変わる——2026年4月、スマートバス停が本格稼働
岡山市を拠点に公共交通の利便性向上を目指す取り組みが、ひとつの具体的な形となって動き出しました。2026年4月1日、岡山市内の岡南方面・乗り継ぎ空間整備事業において、スマートバス停「MMsmartBusStop」が築港新町バス停に設置され、順次運用が開始されます。
この取り組みを手がけるのは、株式会社YE DIGITAL(YEデジタル)。福岡県北九州市に本社を置くITソリューション企業で、公共交通のデジタル化・データ連携に強みを持つ企業です。今回の岡山市での導入は、岡山の公共交通インフラに大きな転換点をもたらす可能性を秘めています。
岡山・倉敷・総社エリアで暮らし、日々クルマや公共交通を使いながら仕事をしている身としても、「バス情報がわかりにくい」「複数社のバスが乗り入れていてどれに乗ればいいかわからない」という不便さは身近なものです。そういった課題に、デジタル技術で真正面から向き合ったのが今回の事業だといえます。
バス路線の再編と「FLAt(フラット)」——利便性向上への大きな一手
岡山市がこのスマートバス停導入に踏み切った背景には、市全体の公共交通政策の見直しがあります。これまで岡山市内では、複数のバス事業者が路線を持ち、重複する区間も少なくありませんでした。このような状況は、運行効率の低下を招くだけでなく、利用者にとっても「どのバスに乗ればいいのか」が直感的にわからないという問題を生んでいました。
そこで岡山市が進めているのが、重複するバス路線の再編と、支線バス「FLAt(フラット)」の導入です。路線を整理して運行を効率化しつつ、生み出された余力を使って地域の生活圏を走る支線バスを充実させるという戦略的なアプローチです。都市部だけでなく、郊外の住民にとっても移動手段が確保されることは、岡山・倉敷・総社圏全体の交通環境の底上げにもつながります。
そして今回の事業で特に重要なのは、これまでバス事業者ごとに分散していた運行情報を「統合」するという点です。利用者が複数社のバス情報を一か所で確認できるようになることで、乗り継ぎの手間や「乗り過ごし」のリスクが大幅に軽減されます。
築港新町バス停に設置されたスマートバス停では、以下の機能が利用できます。
| 機能 | 概要 |
|---|---|
| ① 時刻表の統合表示 | 事業者に関係なく、全バスの時刻表をまとめて確認できる |
| ② 次発バス情報の表示 | 事業者問わず、次に来るバスの情報をリアルタイムで表示 |
| ③ 多言語表示 | インバウンド対応として多言語での情報提供が可能 |
| ④ スマートフォン連携 | スマートフォンからもバス接近情報を確認できる環境を提供 |
対象となるバス事業者は以下の8社で、築港新町バス停では両備バス・岡電バス・八晃運輸の情報が表示されます。
- 岡電バス
- 宇野自動車
- 両備バス
- 下電バス
- 中鉄バス
- 備北バス
- 中鉄北部バス
- 八晃運輸

GTFSデータ活用と「BusOne(バスワン)」——技術の中身を読み解く
このスマートバス停を支えるのが、GTFS(General Transit Feed Specification)という国際標準の公共交通データ規格です。GTFSはGoogleが策定した規格で、現在は世界中の公共交通機関が採用しています。日本では「GTFS-JP」として、日本の実情に合わせたローカライズ版が普及しており、バスや鉄道の静的・動的情報を統一フォーマットで管理・共有できます。
YEデジタルは今回の事業において、以下の2つの役割を担いました。
- GTFSデータ整備の支援:バス事業者8社がGTFS規格に対応したデータを整備するためのサポートを実施
- 統合接近情報システムの提供:各社データを収集・統合し、スマートバス停・スマートフォン上に一括表示するシステムを構築
この統合接近情報システムの機能概要は以下のとおりです。
<統合接近情報システムの機能概要>
バス事業者8社のデータを収集・統合し、スマートバス停およびスマートフォン上にバス運行情報を一括表示します。
- GTFS-RT(動的バス情報フォーマット):バスの位置情報をリアルタイムで提供
- GTFS-JP(静的バス情報フォーマット):時刻表に基づく次発バスの情報を提供
※本システムは2026年4月に提供開始予定のバス接近情報統合システム「BusOne(バスワン)」を先行して導入したものです。
「BusOne(バスワン)」は2026年4月に本格提供開始が予定されているシステムで、今回の岡山市における実装はその先行導入という位置づけです。岡山市が全国に先駆けてこのシステムを活用していることは、公共交通DXの先進事例として注目に値します。

岡山・倉敷・総社圏への波及——スマート交通インフラが地域をつなぐ
今回の取り組みは岡山市内の特定バス停から始まりますが、その意義は岡山市にとどまりません。岡山・倉敷・総社エリアは地理的にも密接につながっており、バスを使った移動はこのエリア全体にまたがっています。
たとえば、倉敷市や総社市から岡山市内へ出かける際、岡山市内のバスネットワークが整備されていれば、乗り継ぎがスムーズになり、クルマなしで移動できる範囲が広がります。特に高齢者や免許を持たない若い世代にとって、「バスに乗りやすくなる」ことの価値は非常に大きいです。
また、多言語表示対応は観光客や外国人居住者にとっても重要です。岡山・倉敷エリアには美観地区など国際的にも知られた観光スポットがあり、インバウンド需要も年々高まっています。スマートバス停が各地のバスターミナルや観光拠点に広がれば、地域全体の観光利便性も向上するでしょう。
YEデジタルは今後も「GTFS標準規格に基づくデータ連携基盤の活用を通じ、岡山市の公共交通DX推進と持続可能で利用しやすい移動環境の実現に貢献する」と明言しており、今回培った知見を活かした展開が期待されます。
木村(総社市・個人事業主)
「岡山エリアのバスは複数の事業者が混在していて、どのバスがいつ来るかを調べるだけでも一苦労でした。スマートバス停によって8社の情報が一元化されるのは、利用者にとって本当に実用的な変化だと思います。スマートフォンでも接近情報が確認できるようになる点も、特に移動中の利用者には助かる機能ではないでしょうか。」
まとめ——「わかりやすく、乗りやすいバス」が岡山の公共交通を変える
今回のYEデジタルによるスマートバス停導入は、単なる「デジタル化」ではありません。バス事業者8社のデータを統合し、時刻表・リアルタイム接近情報・多言語対応をワンストップで提供するという、利用者目線の公共交通改革です。
ポイントを整理すると次のとおりです。
- 岡山市のバス路線再編と並行して推進:支線バス「FLAt」の導入とセットで移動利便性を底上げ
- GTFSという国際標準規格を活用:静的(時刻表)・動的(リアルタイム位置)の両面からデータを整備・統合
- バス接近情報統合システム「BusOne」の先行導入:2026年4月提供開始予定のシステムをいち早く岡山市で実装
- スマートフォンとの連携:バス停に行かなくてもスマホで接近情報が確認可能
- 多言語対応:外国人観光客・居住者にも使いやすい環境を実現
築港新町バス停への4基設置を皮切りに、岡山市内への順次展開が見込まれます。この流れが倉敷・総社エリアにも広がれば、岡山圏全体の移動体験が大きく変わる可能性があります。
木村(総社市・個人事業主)
「”バス停に立って、複数社の時刻表を見比べながら次のバスを探す”という体験は、岡山エリアではまだ珍しくありません。それがスマートバス停ひとつで解消できるとすれば、公共交通への再評価につながるはずです。デジタルインフラの整備は、地方都市の移動課題に直結している。今回のYEデジタルの取り組みはその一つの答えを示しているように思います。岡山・倉敷・総社の交通環境がどう変わっていくか、引き続き注目しています。」
※ 記載されている会社名、商品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
※ 掲載されている情報は、発表日現在の情報です。最新の情報と異なる場合がありますのでご了承ください。
【会社概要】株式会社YE DIGITAL(YE DIGITAL Corporation)
| 設立 | 1978年2月1日 |
| 代表者 | 代表取締役社長 玉井裕治 |
| 本社所在地 | 福岡県北九州市小倉北区米町二丁目1番21号 |
| 事業内容 | ビジネスソリューション:ERPグローバル展開支援(SAP他)、データ連携基盤、顧客業務システムの構築・運用 IoTソリューション:物流DX、ソーシャルIoT、AI・ビッグデータ分析 サービスビジネス:SAP運用支援(グローバルサービスセンター)、物流システムの運用支援(物流DXサービスセンター)、データ統合管理プラットフォーム、BPO/ITOサービス |
| 沿革 | 1978年:安川情報システム(株)創立 2003年:東証2部上場 2019年:社名を(株)YE DIGITALに変更 2020年:本社を北九州市小倉北区に移転 2024年:首都圏のオフィスを統合し渋谷オフィス開設 |
| 企業HP | https://www.ye-digital.com/ |
| 関連リンク | https://smartcity.ye-digital.com/busstop/ |


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