岡山市立図書館、2026年10月に電子書籍開始

政令市として県内初、岡山市が電子図書館サービスを導入へ

岡山市は2026年度から、市立図書館で電子書籍の貸し出しサービスを開始する方針を明らかにした。2026年度当初予算要求に関係経費として1800万円が計上され、2026年10月からの利用開始を予定している。これにより、岡山市民や市内在勤・在学者は、スマートフォンやタブレット、パソコンなどを使って、時間や場所を問わず読書を楽しめるようになる。

初期の蔵書数は約3000冊を見込んでおり、文字サイズの変更や読み上げ機能も一部書籍で利用可能となる予定だ。岡山県内では津山圏域が2024年7月に「つやまエリアデジタルライブラリー」を開始しており、岡山市は政令市としては県内初の導入となる。

木村

木村:政令市で電子図書館未導入は岡山市と広島市だけだったというのは意外でした。24時間いつでも読書できるというのは、働き方が多様化している現代において非常に価値のあるサービスですね。特に育児や介護で外出が難しい方、夜間しか時間が取れない方にとって大きな意味を持つと思います。

電子書籍サービスの概要と利用対象

電子書籍サービスは2026年10月から開始予定で、初期の蔵書数は約3000冊となる見込みだ。システムの詳細はまだ明らかになっていないが、他自治体の事例を見ると、小説から専門書、児童文学、漫画まで多彩なジャンルが揃えられることが予想される。

サービスの対象者は以下の通り:

  • 岡山市民
  • 岡山市内に在勤している方
  • 岡山市内に在学している方

利用には図書館の利用者登録が必要となる。岡山市立図書館は2023年1月からマイナンバーカードを図書館利用者カードとして活用できるサービスを既に開始しており、デジタル技術を活用した利便性向上への取り組みは着実に進んでいる。

2026年度当初予算要求には、関係経費として1800万円が計上されている。この予算には、電子書籍プラットフォームの導入費用、システム運用費、初期のコンテンツ購入費などが含まれると考えられる。

文字サイズ変更・読み上げ機能でアクセシビリティに配慮

注目すべきは、文字サイズの変更や読み上げ機能が一部書籍で利用可能となる予定である点だ。これは2019年に施行された「読書バリアフリー法」の理念に沿った取り組みで、視覚障害のある方や高齢者など、紙の書籍では読書が困難だった利用者層にも読書機会を提供できる。

また、電子書籍は貸出期間が終了すると自動的に返却されるため、返却忘れや延滞の心配がない。物理的な移動が不要なため、天候に左右されることもなく、真夏の猛暑日や大雨の日でも快適に利用できる。

岡山県内の電子図書館導入状況──津山圏域の先行事例

岡山県内では、津山市を中心とした津山圏域定住自立圏(津山市・鏡野町・勝央町・奈義町・久米南町・美咲町の1市5町)が2024年7月から「つやまエリアデジタルライブラリー」を開始している。これは岡山県内の図書館では初めての電子書籍貸し出しサービスとなった。

同サービスでは3万1000コンテンツが対象となっており、小学生・中学生・大人向けコーナーがあり、小説から専門書、児童文学、漫画まで多彩なコンテンツが揃っている。貸し出しは3タイトルまで、期間は2週間、予約点数は3タイトルまでとなっている。

一方、全国的に見ると、2024年10月1日時点で579自治体が電子図書館を導入しており、電子図書館の数は459館に達している。特に新型コロナウイルス感染症の流行を契機に、非接触・非来館サービスとして導入が急増した。

2021年7月時点では岡山県は電子図書館未導入の県の一つだったが、津山圏域での先行導入を経て、政令市である岡山市でも導入が決定したことになる。なお、2025年4月時点で政令市20市のうち18市が導入済みで、未導入は岡山市と広島市のみとなっていた。

木村

木村:津山圏域が3万1000コンテンツでスタートしたのに対し、岡山市は3000冊からというのは少し寂しい気もしますが、政令市としての規模を活かして段階的に拡充していく方針だと思われます。倉敷市や総社市での導入がまだという状況を考えると、岡山市の動きが県内他地域にも良い影響を与えるかもしれません。

岡山市立図書館の実績とデジタル化推進の背景

岡山市立図書館は市内に10館を展開しており、2023年度の中央図書館の入館者数は286,184人(1日平均944.5人)を記録している。蔵書数は約94.6万冊(2022年現在)で、市民1人あたりの貸出冊数は政令市の中で第3位という高い実績を誇っている。

この実績は、岡山市民の読書に対する高い関心を示すものであり、電子書籍サービスの導入により、さらに読書機会が拡大することが期待される。岡山市立中央図書館は「電子書籍で読書を楽しむ機会を増やしてもらいたい」としており、特に若年層や働き世代への読書推進効果が見込まれる。

岡山市DX推進計画の一環として

岡山市は「岡山市DX推進計画」を策定し、「DXによる『住みやすく躍動感のある』まちづくり」を全体テーマに掲げている。施策分野として①地域社会のDX、②市民サービスの向上、③行政事務の効率化の3つを設定しており、電子書籍サービスの導入は②の市民サービス向上に資する施策と位置づけられる。

2025年度予算ではデジタル化関連事業に約34億円を計上しており、市全体としてデジタルトランスフォーメーションを強力に推進している姿勢が見て取れる。電子図書館はその中核的な施策の一つといえるだろう。

倉敷市・総社市の状況は?

岡山県内の他の主要都市の状況を見ると、倉敷市立図書館では現在のところ電子書籍サービスは導入されていない。倉敷市は岡山市に次ぐ県内第二の都市であり、今後岡山市の導入状況を見ながら検討が進む可能性がある。

総社市図書館についても電子書籍サービスに関する具体的な情報は確認できなかったが、県内の動向を注視しながら、市民ニーズに応じた検討が進むことが期待される。

今後の展開と地域への影響

初期蔵書数は約3000冊だが、利用状況や市民ニーズに応じて段階的に拡充していくことが期待される。他自治体の事例では、導入後に予算を増額してコンテンツを充実させるケースが多い。津山圏域が3万1000コンテンツでスタートしたことを考えると、岡山市も将来的には同規模以上のコンテンツ数を目指す可能性がある。

また、コロナ禍以降、電子図書館を導入した自治体では、児童生徒の電子書籍利用が飛躍的に増加した事例も報告されている。学校教育との連携により、子どもたちの読書習慣形成にも寄与することが期待できる。

2026年10月のサービス開始に向けて、今後はシステムの選定やコンテンツの選書、利用者への周知など、具体的な準備が進められることになる。特に、どのような電子書籍プラットフォームを選定するか、どのようなジャンルのコンテンツを優先的に揃えるかが注目される。

まとめ──デジタル時代の読書環境が岡山にも

岡山市立図書館の電子書籍サービス導入は、デジタル時代における図書館サービスの在り方を示す重要な取り組みだ。24時間利用可能という特性は、多忙な現代人のライフスタイルに適合し、読書バリアフリーの観点からも意義深い。

政令市20市のうち18市が既に導入済みという状況の中、岡山市がようやく電子図書館に踏み出すことは、遅きに失した感もあるが、津山圏域の先行事例を参考にしながら、より洗練されたサービスを提供できる可能性もある。

岡山市民にとって、読書という知的活動がより身近になる日が待たれる。また、県内他地域への波及効果も期待され、倉敷市や総社市でも同様のサービスが検討されることになれば、岡山県全体の読書環境が大きく向上することになるだろう。

木村

木村:電子図書館の最大のメリットは、「時間と場所の制約からの解放」だと思います。仕事で帰宅が遅い方、小さなお子さんがいる方、遠方に住んでいる方──これまで図書館を使いづらかった多くの人に読書の機会が開かれます。また、文字サイズ変更や読み上げ機能といったアクセシビリティ対応は、高齢化が進む地方都市において特に重要です。初期蔵書3000冊という規模は決して大きくありませんが、市民の声を反映しながら着実に拡充していけば、岡山の新しい読書文化の基盤になるはずです。

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