2026年1月度の都道府県別賃金伸び率ランキングが発表、岡山は派遣で下位46位に
求人ビッグデータの分析を専門とする株式会社フロッグ(東京都千代田区、代表取締役:阪野香子)が、2026年1月度における都道府県別の賃金伸び率ランキングを公表しました。この調査では、アルバイト・パート、派遣、正社員という3つの雇用形態それぞれについて、主要な求人媒体に掲載されている情報を収集・分析しています。
今回の調査対象となった求人媒体は以下の通りです。
- アルバイト・パート:「イーアイデム」「バイトル」「マイナビバイト」
- 派遣:「はたらこねっと」「エン派遣」
- 正社員:「doda」「type」「エン転職」「マイナビ転職」
この調査データは、各月の第一月曜日時点で掲載されていた求人を取得・集計したもので、2024年12月2日から2026年1月5日までの期間をカバーしています。前月比でどれだけ賃金が変動しているのか、地域ごとの労働市場の動向を把握する上で貴重な参考指標となっています。
木村: 岡山県が派遣で46位という結果は、地方の雇用環境の厳しさを改めて実感させられますね。特に、派遣労働者の賃金が減少傾向にあるというのは、地域経済にとって看過できない問題です。総社や倉敷といった地域で事業を営む立場として、この数字の背景には何があるのか、しっかりと考える必要があります。
雇用形態別の全国動向:奈良県・長崎県・石川県がトップに
今回の調査結果によると、雇用形態別の賃金増減率(前月比)は以下のような範囲で推移しています。
| 雇用形態 | 変動率の範囲 | トップ3 |
|---|---|---|
| アルバイト・パート | -1.09%~+5.54% | 1位:奈良県(+5.54%)、2位:大分県(+4.39%)、3位:鳥取県(+4.07%) |
| 派遣 | -1.26%~+4.42% | 1位:長崎県(+4.42%)、2位:奈良県(+3.87%)、3位:山形県(+3.34%) |
| 正社員 | -0.66%~+1.17% | 1位:石川県(+1.17%)、2位:青森県(+0.95%)、3位:愛媛県(+0.64%) |
アルバイト・パート部門:奈良県が大幅上昇
アルバイト・パートの都道府県別賃金伸び率ランキングでは、奈良県が前月比+68円(増加率+5.54%)で首位を獲得しました。続いて大分県が+50円(+4.39%)、鳥取県が+47円(+4.07%)という結果になっています。

一方、下位3県は45位が茨城県(-8円、-0.65%)、46位が栃木県(-9円、-0.73%)、そして最下位47位が群馬県(-13円、-1.09%)でした。
興味深いのは、トップの奈良県と最下位の群馬県における過去12か月の賃金推移です。奈良県では2025年1月から増減を繰り返しながら推移していましたが、2025年12月に複数企業が時給下限1,050円の求人掲載を終了した影響で、2026年1月には平均時給が大きく上昇しました。

対照的に群馬県の平均時給は、2025年1月時点で1,156円だったものが、同年8月には1,204円まで上昇したものの、その後は下落基調で推移し、2026年1月には1,181円となっています。

派遣部門:長崎県がトップ、岡山県は46位で減少傾向
派遣の都道府県別賃金伸び率ランキングでは、長崎県が前月比+54円(増加率+4.42%)で1位となりました。2位は奈良県(+56円、+3.87%)、3位は山形県(+41円、+3.34%)という結果です。

注目すべきは下位の顔ぶれです。45位が秋田県(-6円、-0.51%)、46位が岡山県(-8円、-0.60%)、47位が青森県(-15円、-1.26%)となりました。岡山県は派遣労働者の賃金が前月比でマイナスとなり、全国でも下位に位置しています。
トップの長崎県では、2025年9月に1,258円まで上昇した後、10月から12月にかけて1,220円台から1,260円台のレンジで増減を繰り返していましたが、2026年1月には1,277円と大きく上昇しました。

一方、最下位の青森県の平均時給は、1,110円から1,190円前後のレンジで増減を繰り返しながら推移しています。

正社員部門:石川県が上昇トップ、比較的安定した推移
正社員の都道府県別賃金伸び率ランキングでは、石川県が前月比+3,016円(増加率+1.17%)で1位を獲得しました。2位は青森県(+2,381円、+0.95%)、3位は愛媛県(+1,583円、+0.64%)です。

下位3県は、45位が奈良県(-924円、-0.35%)、46位が秋田県(-889円、-0.35%)、47位が福島県(-1,704円、-0.66%)となりました。
1位の石川県における直近12か月の賃金推移を見ると、2025年1月の249,888円から上昇基調で推移し、2025年11月には257,604円に到達。2025年12月は258,142円、2026年1月には261,158円と期間中の最高値を記録しています。

一方、最下位の福島県の平均月給は、2025年1月から2025年12月にかけて251,631円から257,808円まで上昇しましたが、2026年1月には256,104円とやや下落しています。

岡山県の派遣賃金が下位46位に位置する背景と地方の課題
今回の調査で特に注視すべきは、岡山県が派遣部門で46位(-8円、-0.60%)という結果になった点です。岡山県は中国地方の中核都市として、製造業やサービス業が集積しており、倉敷市の水島コンビナートをはじめとする工業地帯も抱えています。それにもかかわらず、派遣労働者の賃金が前月比でマイナスとなり、全国でも下位に沈んでいるのはなぜでしょうか。
考えられる要因
①製造業における季節的要因
年末年始の生産調整により、一時的に派遣需要が減少し、高単価案件の掲載が減った可能性があります。特に自動車関連や化学工業などの製造業が盛んな岡山県では、年度末に向けた生産計画の見直しが賃金に影響を与えたと考えられます。
②都市部への人材流出
大阪や広島といった近隣の大都市圏への人材流出が続いており、地元企業が賃金アップに慎重になっている可能性があります。特に若年層の県外流出は深刻で、派遣労働市場においても需給バランスに影響を与えていると推測されます。
③地域経済の成長鈍化
全国的なインフレ圧力がある中で、地方企業は人件費の上昇を価格転嫁しにくい状況にあります。特に中小企業が多い岡山県では、賃上げの体力が限られており、派遣労働者の賃金に反映されにくい構造があると考えられます。
木村: 岡山・倉敷・総社エリアでビジネスをしていると、確かに人材確保の難しさを実感します。特に派遣労働者の賃金が下がっているという事実は、地域の雇用環境が厳しくなっていることの表れでしょう。ただし、これは一時的な変動の可能性もあります。長期的なトレンドを見極めながら、地域企業が持続的に賃金を上げられる環境を整えることが重要です。
求人ビッグデータが示す労働市場の未来
今回のランキングは、株式会社フロッグが2014年から収集している40億件以上の求人ビッグデータに基づいて作成されています。このデータは日本全国150以上の求人サイトから取得されており、人材業界でのマーケティング調査や、採用担当者の市場分析、さらには景気動向の参考データとして官公庁や報道機関でも活用されています。
データ収集・分析の手法
調査では、各月の第一月曜日時点で掲載されていた求人情報を取得し、求人情報内の給与項目から数値を抽出。給与の下限金額を合算して平均値を算出しています。また、勤務地情報についても取得し、1つの求人に複数の勤務地都道府県が紐づいている場合は、最初に記載されている都道府県を採用するという明確な基準を設けています。
データが持つ意義
このような大規模な求人データの分析は、以下のような価値を提供しています:
- リアルタイム性:政府統計より早く労働市場の動向を把握できる
- 地域別の詳細分析:都道府県単位での細かい動向把握が可能
- 雇用形態別の比較:正社員、派遣、アルバイト・パートそれぞれの特性を理解できる
- 政策立案への活用:地方自治体の雇用政策や産業振興策の参考資料となる
特に地方自治体にとって、このようなデータは自地域の労働市場の位置づけを客観的に把握し、効果的な施策を打ち出すための重要な基礎資料となります。岡山県においても、今回の結果を真摯に受け止め、派遣労働者の待遇改善や雇用環境の整備に向けた取り組みが求められるでしょう。
株式会社フロッグの提供サービス
株式会社フロッグ(東京都千代田区神田須田町、代表取締役:阪野香子)は、2021年1月5日に株式会社ゴーリストより分社化して設立された企業で、求人ビッグデータ事業を専門としています。主なサービスには以下のようなものがあります:
- HRogリスト for アカデミア:官公庁・研究・報道機関向けの求人オルタナティブデータ提供サービス
- HRogリスト:人材業界のための”求人”企業リスト
- HRogチャート:人材業界・採用担当者向け求人データ分析ツール
- HRog:人材業界の一歩先を照らすメディア
これらのサービスを通じて、日本の採用市場の動向を明らかにする次世代民間データとして、幅広い業界で活用されています。
まとめ:地方における賃金格差の是正に向けて
2026年1月度の都道府県別賃金伸び率ランキングは、日本の労働市場における地域間格差を改めて浮き彫りにしました。アルバイト・パートでは奈良県(+5.54%)、派遣では長崎県(+4.42%)、正社員では石川県(+1.17%)がそれぞれトップとなり、地域によって賃金動向に大きな差があることが明らかになりました。
一方で、岡山県は派遣部門で46位(-0.60%)という結果となり、中国地方の中核都市としての地位にもかかわらず、賃金面では厳しい状況に置かれています。この背景には、製造業の季節的要因、都市部への人材流出、地域経済の成長鈍化といった複合的な要因が考えられます。
ただし、今回の結果は前月比という短期的な変動を示すものであり、長期的なトレンドを見極めることも重要です。一時的な下落であれば、今後の回復が期待できますが、構造的な問題であれば、より根本的な対策が必要となるでしょう。
地方が取り組むべき施策
岡山・倉敷・総社エリアをはじめとする地方都市が賃金上昇を実現するためには、以下のような取り組みが求められます:
- 高付加価値産業の誘致:IT、バイオテクノロジーなど成長分野の企業誘致
- 地元企業の生産性向上支援:DX推進やビジネスモデル転換の支援
- 人材育成プログラムの充実:リスキリング・アップスキリング機会の提供
- 働き方改革の推進:柔軟な働き方の実現による人材確保
- 生活環境の向上:住みやすさの向上による定住・移住促進
木村: 今回のランキングで岡山県の派遣賃金が下位に位置したことは残念ですが、これをチャンスと捉えることもできます。データに基づいて現状を正確に把握し、具体的な改善策を講じることで、地域の雇用環境は必ず良くなります。倉敷や総社といった地域には、まだまだ伸びしろがあります。企業、行政、働く人々が一体となって、持続可能な賃金上昇を実現できる環境を作っていくことが大切です。短期的な変動に一喜一憂するのではなく、長期的な視点で地域の魅力を高め、人材が集まり、企業が成長できる好循環を生み出していきましょう。
調査概要
調査主体:株式会社フロッグ(東京都千代田区神田須田町1-18、代表取締役:阪野香子)
調査期間:2024年12月2日~2026年1月5日
調査対象:主要求人媒体(アルバイト・パート:イーアイデム、バイトル、マイナビバイト/派遣:はたらこねっと、エン派遣/正社員:doda、type、エン転職、マイナビ転職)
集計方法:各月第一月曜日時点の掲載求人情報を取得し、給与下限額の平均値を算出
問い合わせ:TEL 03-5296-9595、Email: sales@hrog.co.jp
公式サイト:https://hrog.co.jp
※本レポートのコンテンツ・データに関する著作権は株式会社フロッグに帰属します。二次利用を希望される場合は同社への連絡が必要です(有償)。



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