岡山市でドローンによる下水道管調査の実証実験が実施―老朽化インフラの新たな点検手法として期待

岡山市でドローンを活用した下水道管調査が始まる

岡野バルブ製造株式会社(本社:福岡県北九州市、代表取締役 岡野武治)は、2025年10月22日(水)に岡山市内において、同社が単独で実施する初のドローンを用いた下水道管路の調査実証実験を行いました。全国各地で下水道インフラの老朽化が深刻化し、調査・点検体制の整備が喫緊の課題となる中、今回の実証をきっかけとして、ドローンを活用した下水道調査サービスの提供体制を構築し、全国の自治体へ向けたサービス展開を推進していく方針です。

岡山市は人口約70万人を抱える中核都市であり、市内には広範囲にわたる下水道網が張り巡らされています。このような都市インフラを維持・管理していくうえで、効率的かつ安全な点検手法の確立は極めて重要です。今回の実証実験は、地域のインフラ保全における新たな選択肢を示すものとして、大きな注目を集めています。

木村

木村:岡山市でこうした最先端の技術実証が行われることは、地域全体にとって大きな意義があります。下水道は普段目に見えないインフラですが、私たちの生活を支える根幹です。ドローンによる点検が実用化されれば、作業員の安全性が向上するだけでなく、点検コストの削減や効率化にもつながります。岡山・倉敷・総社エリアにおいても、こうした技術が広がることで、より安全で持続可能なまちづくりが進むでしょう。

実証実験の背景―進む下水道管の高経年化と点検の課題

国土交通省の発表によれば、令和5(2023)年度末時点で、日本全国における下水道管渠の総延長は約50万kmにも及びます。そのうち、標準的な耐用年数とされる50年を超過した管渠の延長は約4万kmに達し、全体の約7%を占めています。今後も年数を経た管渠は増え続けることが予想され、維持管理体制の抜本的な見直しが求められています。

各地で下水道管の老朽化が進行する中、調査・点検作業には多くの困難が伴います。下水道管内は生活排水や産業排水が流れ込むため、硫化水素をはじめとする有害ガスが発生しやすい環境です。作業員が管内に立ち入る際には、常に危険と隣り合わせであり、安全確保のための設備やコストも相当なものとなります。こうした理由から、維持管理に関する調査・対策の実施が難しい状況が続いてきました。

さらに、2025年1月に埼玉県八潮市で発生した下水道管路の破損を起因とする道路陥没事故は、老朽化した下水道インフラの危険性を改めて社会に知らしめる出来事となりました。この事故を受けて、新たな調査・点検体制の構築は急務となり、ドローンなどの先進技術を用いた点検手法への期待が一層高まっています。

岡野バルブ製造は、資本業務提携を結ぶLiberaware株式会社(本社:千葉県千葉市)と協力し、下水道管内でドローンを飛行させる調査手法の確立に向けて、継続的に検討を重ねてきました。2025年5月には、北九州市上下水道局との3者合同で、全国初となる超狭小空間点検ドローンを使った下水道管調査を実施。その後も、北九州市との協力のもと、ドローンを活用した調査を継続的に展開してきました。今回の岡山市での実証実験は、これまでに蓄積したノウハウを基に、同社が単独で実施する初の事例となります。

参考:国土交通省 下水道に関する情報

ドローンを下水道管に下ろす作業
ドローンを下水道管に下ろす作業(北九州市での調査より)
調査で利用した超狭小空間点検ドローンIBIS2
調査で使用した超狭小空間点検ドローン「IBIS2」

岡山市での実証実験の概要と成果

現在、下水道管内の状況確認は、作業員が直接立ち入って行う方法が主流です。しかしながら、管の内径が小さい箇所や、硫化水素などの有害ガスが発生する場所では、調査が困難であることが大きな課題となってきました。また、少子高齢化の進行により作業員の確保も難しくなる中、ドローンを活用した新たな調査方法への期待が高まっています。

今回、岡山市で実施された実証実験は、北九州市での調査によって培われたノウハウを基に、岡野バルブ製造が単独で行う初めての試みとなりました。実証の対象となったのは、巌井ポンプ場(岡山市北区)の近くに位置する、敷設から50年以上が経過した下水道管(合流管、内径2,400mm、実証延長76m、ヒューム管)です。使用された機体は、Liberaware製の超狭小空間点検ドローン「IBIS2」で、岡野バルブ製造のパイロットが操縦を担当しました。

下水道管内はGPS信号が届かない環境であるため、ドローンの飛行には高度な操縦技術と機体の性能が求められます。IBIS2は、機体に高輝度照明とフルHDカメラを搭載し、直径約20cmという小型サイズながら防塵・防滴設計が施されており、狭小な空間でも安定した飛行が可能です。

実証実験では、管内の狭い空間においてドローンを飛行させ、管壁の状態を映像で記録することに成功しました。具体的には、管壁に取り付けられた錆びたナットや、瓦解したはしごの様子など、老朽化による劣化状況を明確に確認することができました。ドローンを活用した調査により、作業員が危険な環境に立ち入ることなく、効率的かつ安全に点検を実施できることが実証された形となります。

実証における役割分担

【岡山市】
下水道管点検における課題の提示、および調査依頼

【岡野バルブ製造】
点検プロセスの構築、現場対応、ドローンのオペレーション

モニターで下水道管内の様子を撮影するパイロット
モニターで下水道管内の様子を撮影するパイロット
ドローンを下水道管に下ろす前の作業
ドローンを下水道管に下ろす前の準備作業
下水道管内にドローンを投入する作業
下水道管内にドローンを投入する様子
木村

木村:実際に撮影された映像を見ると、管内の劣化状況が鮮明に記録されており、この技術の有用性が実感できます。倉敷市や総社市でも同様の老朽化した下水道管が多く存在するはずですから、こうした点検技術が地域全体に広がることで、インフラの安全性が飛躍的に向上するでしょう。

ドローンで撮影された下水道管内の映像

ドローンで撮影した下水道管内の様子①
ドローンで撮影した下水道管内の様子①
ドローンで撮影した下水道管内の様子②
ドローンで撮影した下水道管内の様子②
ドローンで撮影した下水道管内の様子③
ドローンで撮影した下水道管内の様子③

今後の展開―全国の自治体への展開と技術の高度化

今回の実証実験の成果を受けて、岡野バルブ製造と岡山市は、今後の下水道管点検作業におけるドローン活用の可能性について、継続的に協議を進めていく予定です。同時に、老朽化した下水道管の維持・管理に課題を抱える全国各地の自治体に対しても、積極的にアプローチを行い、サービスの展開を図っていく方針を示しています。

技術面においては、さらなる高度化を目指した取り組みも進められます。具体的には、点群化技術AI解析技術を活用することで、クラック(ひび割れ)、漏水、付着物、堆積物などの劣化要因を自動的に検知し、進行度を予測するシステムの構築を進めていく計画です。こうした技術により、点検作業の精度と効率が大幅に向上し、より予防保全的なインフラ管理が可能になると期待されています。

高経年化した下水道管は今後も増加の一途をたどることが予想されます。そうした状況に対し、岡野バルブ製造は、ドローンを活用した調査手法の普及を通じて、事故リスクの低減や作業員の負担軽減に貢献していく姿勢を明確にしています。

岡野バルブ製造株式会社について

岡野バルブ製造株式会社は、1926年の創業以来、発電プラント用高温・高圧バルブをはじめとする各種バルブの開発・設計・製造・メンテナンスを手がけてきた老舗企業です。社会インフラの発展とともに歩み、製造業としての技術と伝統を守りながらも、DXやクリエイティブといった新たな潮流を取り入れ、新規事業や地域創生などの幅広い領域で産業・社会の変革をリードする「未来型ものづくり企業」を目指しています。

項目 内容
会社名 岡野バルブ製造株式会社
代表取締役社長 岡野武治
本社所在地 福岡県北九州市門司区中町1-14
創業 1926年11月3日
事業内容 発電用高温高圧バルブの開発・製造・保守その他工業製品の受託生産
工業プラントにおける各種工事
研究開発の受託
DXの実施・支援
産業振興、地域振興の実施・支援
ウェブサイト https://okano-valve.co.jp/

まとめ―岡山・倉敷・総社エリアのインフラ保全への期待

今回、岡山市で実施されたドローンを活用した下水道管調査の実証実験は、老朽化が進む社会インフラの維持管理における新たな可能性を示すものとなりました。全国で約50万kmに及ぶ下水道管のうち、50年を超える管渠が約4万kmに達する中、効率的かつ安全な点検手法の確立は喫緊の課題です。

岡野バルブ製造が単独で実施した今回の実証では、超狭小空間点検ドローン「IBIS2」を用いて、GPS信号が届かない下水道管内で管壁の劣化状況を鮮明に記録することに成功しました。錆びたナットや瓦解したはしごなど、人が直接立ち入らなければ確認が難しかった箇所の状態を、安全かつ効率的に把握できることが実証されたことは、大きな前進といえます。

岡山市との協議を継続しながら、今後は全国の自治体への展開も視野に入れており、点群化技術やAI解析技術を組み合わせることで、クラックや漏水の自動検知、進行度予測といった高度な機能の実装も計画されています。こうした技術革新により、予防保全型のインフラ管理が実現し、道路陥没などの重大事故を未然に防ぐことが期待されます。

岡山・倉敷・総社エリアにおいても、高度経済成長期に整備された下水道管が老朽化の時期を迎えており、同様の課題を抱えています。今回の実証実験で示された技術が地域全体に普及すれば、作業員の安全確保、点検コストの削減、効率的な維持管理が実現し、住民の生活基盤がより強固なものとなるでしょう。

木村

木村:見えないところで私たちの生活を支えるインフラの点検に、最先端の技術が導入されるのは本当に心強いことです。岡山市での成功事例が倉敷市や総社市にも広がることで、地域全体の安全性と持続可能性が高まります。ドローン技術による安全で効率的な点検は、作業員の負担を減らしながら、より精密なデータを取得できる点で、今後のインフラ管理の標準となる可能性があります。岡山・倉敷・総社エリアが、こうした先進的な取り組みのモデル地域となることを期待しています。

記事元:PR TIMES – 岡野バルブ製造株式会社プレスリリース

本件に関するお問い合わせ先

岡野バルブ製造株式会社

実証内容に関するお問い合わせ(VQ事業部:高地)
Email: vq-support@okano-valve.co.jp

広報に関するお問い合わせ(経営企画室:高田)
Email: kouhou@okano-valve.co.jp

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